飛ぶ鳥の献立

珈琲と酒と本とぼんやりした何かでできている

答えと救いは同義ではない

転機は思わぬタイミングで思わぬところからやってくる。 そして迷いが生じた時は、散策するに限る。 というわけで週末、歩くことを目的に出かけた。 ご近所さんのミモザ。こんなにもさもさに咲いてるの初めて見た。かわいい。 歩こう、と決めた時はだいたい…

一瞬の観測、一握の機微

前回の記事で、ちゃんとしたカメラで撮ろうと書いたけれど、 日常で目にするものは今まで通りiPhoneで撮っていこうと思っていて、 この冬から春に向かう道行で出会ったものを並べてみる。 下りの対岸は上り。 柴だんご。 もう終電は諦めよう、と言った時の。…

往事渺茫としてすべて夢に似たり

写真を趣味にし始めたのは、確か14年くらい前である。 コンデジから始まり、銀塩一眼(Nikon FM3a / CONTAX ST / ALPA 10d)、銀塩中判(HASSELBLAD 500C/M / Rolleiflex Standard)、銀塩レンジファインダー(Nikon S2 / Leica M2 / Leica DII / CONTAX G1…

身にかへてあやなく花を惜むかな

今年はあまり撮れなかったけれど、花見の記録。 2月、熱海にて。 坪内逍遥の晩年の住居、双柿舎の庭に咲いていた寒桜。 4月、東京から遊びに来てくれた友を円山公園に連れ出す。 4月、友と天満橋から大川沿いを歩く。 桜咲く春は夜だになかりせば夢にも物は…

表現と循環とカツサンド

週末、東京に上った。 新幹線の中で、春雨の中や花曇の下の桜、霞たなびく山、黄昏に灯る街灯を眺めていた。この季節をただ美しいと感じていられることの幸福のほどを味わっていた。そんな感傷に、「これ辛子入ってませんか?(苦手)」と売り子さんに確認し…

惑わずして移ろいゆく

すでに桜は緑に移りつつある。 今年は花散らしの雨が例年よりも早くて本当に一瞬だったけれど、親友とも、一人でも、たくさんの桜を見ることができた。 造幣局の桜の通り抜けはまだ開催されているので最後にそれを観て、春をきちんと見送ろうと思う。 暦とし…

春はあけぼの

少し前に、尊敬を寄せていて、 私のことをおそらくほとんど理解してくれているであろう存在から、 「今、お前が進みたいと思っている道は正しい道だ。だから、そのまま歩め。」 というような言葉をいただいた。 それは夜明けの光のように力強い言葉で、心か…

友が来たりて大阪案内

先週末、東京の友人が遊びに来阪してくれた。 来阪してくれるのは二度目だが、一度目は新世界にて串揚げ&京都案内で終わってしまったので、大阪市内の観光は今回がほとんど初めての友人である。 というわけで、張り切って連れ回してしまった1日の記録。 東…

山と工芸と焼きそばパン

昨年末の帰省中、地元の宴会への参加を拒んだ時に母親から言われた「あんたは幼稚園生の頃から人がたくさんいる場所が苦手だからね」という言葉を時々反芻している。そうだったよな、これは生まれついての性質だからそこに対しての罪悪感は不要だな。先天的…

楽に至る道

「文學界」 3月号の、羽田啓介さんと村田沙耶香さんの芥川賞作家対談は、なかなか面白い示唆に満ちた内容であった。 文藝春秋|雑誌|文學界_1703 印象深かったひとつにこのようなくだりがある。 (村田)(「コンビニ人間」は)自分にしては早く書いた。 (…

言葉と信頼

コミュニケーションの難しさはきっと人類が誕生した時から今日に至るまで、誰一人悩まない時など刹那たりともこの地上にはなかったと思うくらい普遍のテーマだと思うのだけれど、それに関して昔からずっと思っていることについて今日は記す。 ・大事なのは、…

筋書きを手放す

さまざまな人の心中に触れる日々を経過して、人は無意識に筋書きを自分に付与していることが意外にも多いのかもしれない、と最近思う。 例えば、「本当に欲しいものはいつも手に入れられない」とか、「誰ともうまく関係を築けない」とか、「一番にはなれず、…

自意識に窓をつける

今日はいつにも増してとりとめもなく書きます。 少し前の話になるが、「ダ・ヴィンチ」2月号の特集で、漫画家の東村アキコさんのインタビューにこんなくだりがあった。 「結婚すると、いいこともありますからね」 「ラクになるんですよ」 「独身の時って、2…

春と道

しばらく前、友人に、「宇多田ヒカルの『道』を聴いていて、うみのさんのことを思い出した」という過分な言葉をいただいて、よく聴いている。(多分これを読んでくれると思うけど。ありがとう。)これを書いている今も。この季節に合う、希望に満ちた歌だな…

呪いを祝福に変える力

だいぶ以前に書こうとしてやめたテーマなので、少し古いネタなのだけれど、やはり書きたいなと思ったので書いておく。 2月12日のNHKスペシャルのテーマは、「見えない“貧困” ~未来を奪われる子どもたち~」であった。 www6.nhk.or.jp 子どもを進学させるだ…

春を連れてくる雨を眺めながら魂の調律をする

まるで弧を描く星のように、頭の中にひらめくことはたくさんあったのだけれど、忙しさに取り紛れて消えてしまったものたちを切なく思って久しぶりに更新します。 まあ、大切なひらめきであれば、またそのうち帰ってきてくれるであろう。 なにが大変だったか…

春を心に招き入れる

「あたためる」ということのもたらす力はすごい、 ということを最近改めてしみじみ、思っている。 しばらく前のことだが、たまたまつけたテレビで「癌予防」の特集番組をやっていて、出演されていたお医者さんが、予防においてとても大切なのは「冷やさない…

生きたいようにしか生きられない人生に祝福を

2〜3日に1回どころか、一週間も空いてしまった。 仕事が楽しいとそれ以外のことをほとんど考えなくなるのは私の悪癖である。 少しは更新しないと惰性に流されてしまうので、今日からちゃんと書こうと思う。(と自分を追い込む) 前回の記事の続きではない…

取捨選択の「捨」を意識する

書きたいことは溢れんばかりにあるのだけれど仕事が楽しすぎて毎日己を使い果たした感がありなかなかここに文章を刻めずにいた。多分今後は2日か3日に一度くらいの更新になるような気がしている。と書くと実際にそうなるということはわかってはいるが昨年…

個と組織の両方を重んじることは斯くも深い

すこし日が開いてしまった。 仕事が楽しかったり飲んでいたりしていたのもあるが、精神的に閉じ籠っていたい数日間でもありました。 そんなここ数日ではあるが、お会いした何人かの人から文章をお褒めいただいた。 ありがとうございます。 なかにはファンだ…

孤独の中にある尊厳

先日、孤独について偉そうなことを書きましたが、その増補。 私自身は、己の孤独の解決を人に委ねない、というポリシーを持っている。 「孤独をつぶやくな、沈黙を誇れ」 これはとある雑誌のコピーであるが、本当に秀逸だと思う。 個人的にはこれを墓場まで…

執着選択の自由

今日は短く行こう。 ①生きてる ②寝られる、休める時間がある ③ご飯が食べられる ④安心して帰れる場所がある とりあえずここまでで、人としては十分恵まれている。 さらに、 ⑤心身を損なわない程度での仕事がある ⑥何かひとつでも、楽しいとか面白いとか思え…

私の帰る場所

寒波到来ですね。 冬が一番好きな季節の私ではあるが、さすがに外に出るのが辛く、そういえば、と思い出したのが、年末年始に帰省した際、 母から 「これしばらく前に買ったんだけど全然着てなくて、あんた着ない?」 と譲られた黒のダウンコートの存在であ…

孤独の先にある世界

先日、東京に行っている折、とある素敵な知人とお茶をした。 陽だまりのようにおだやかな視座と春風のようにやわらかな感性を持つ素敵な知人であり、人生やらキャリアやら様々なトピックについて語るのは楽しかった。 後日、その知人がSNSで、そのとき話した…

愛情の深さが影響の輪を広げる

こんばんは。 新職場にて、 「うみのさんってモテそうですよね。女性らしいし色気があるし」と言われ、 え??誰のことを言ってるの???誰か違う人が見えているの???? と混乱を極めた私です。 そんな話はすこぶるどうでもよくて、今朝たいへん深く感じ…

私の好きなあなたの好きなところ

昨日の記事で疲れがなかなか抜けないことについて書いたがその後、 仕事の終わりと同時にいよいよ充電がゼロになったことを自覚した。 東京出張帰りの大荷物を抱え、もはやスーパーで買い出しする元気もなく帰宅し、 冷凍ストックしておいた食材であり合わせ…

私的対人諸法度

昨日更新がなかった理由はここをご覧に来てくださる優しい方におかれましてはお察しの通り、泥酔再びだったからです。 もうしばらく酒は飲むまい。今週の金曜日に会社が私の歓迎会を開いてくれるのでそれまでは。 ところで一昨日くらいから自身のエネルギー…

夢と魔法の国の海の帰りに思うこと

東京滞在の休日最後は、ディズニーシーに行ってきた。 私も友人も、アトラクションより建造物のディテールを見るほうが楽しいので、写真を撮っているときが一番充実していた。 いつか人里離れたところにこんなロマン溢れる庵を結んで、ほとんど誰にも会わず…

文楽好きの歌舞伎初鑑賞

歌舞伎座の初春公演を観てきた。 大阪に越してからすっかり文楽好きになりちょくちょく観に行っていたのだけど、歌舞伎は人生初。 歌舞伎観劇歴の長い友人がアテンドしてくれた。 小屋からすでに文楽劇場と違って豪奢で、入る前から気分が高まる。 昼の部を…

墓と肉

あっさり更新が途切れましたが何故かというと昨日と一昨日は泥酔していたからです。 酒の力は習慣を超えるということをありがたくもなく実感しました。 今日もさっきまで友達と飲んでいましたが、なんとか酒に打ち勝ちました。1勝2敗。 引き続き東京に留まる…