飛ぶ鳥の献立

珈琲と酒と本とぼんやりした何かでできている

ひかりのどけき春の日にしづ心なく逍遥すること

風の冷たい日をまだ名残のように残しながらも、いくつかの雨の夜を通過儀礼のようにして、季節は着実に春へと向かっている。

 

「秋の月はさやけきを賞で、春の月は 朧なるを賞づ」とふるくから言われるが、縹渺たる夜の明かりに象徴されるように、春はいろいろなものの境界線があいまいになる季節だなと思う。

人と人との距離とか、楽しみと切なさとか、希望と不安とか。

 

あるいは、普段なら行かないようなところにも、ふと迷い込んだように足を踏み入れてしまったりする。

今日は不思議な夜だなぁ、と思うことは、断然、春が多いように感じている。

 

いろいろなものごとが形を変えたり、新たなことが始まる季節のありかたとしてはそれが自然なたたずまいなのかもしれない。

 

そんな春だからか分からないけれど、行ってきた。

珍スポッターとして長らくの憧れの地、竹島ファンタジー館」

 

www.fantasykan.jp

 

一度は行ってみたいものだと思っていたものの2010年から閉館となり落胆していた。

が、2014年にまさかの再オープンを果たしたという話を下記のDPZの記事で知り、今度こそ後悔しないように行かねばと決意を新たにしたところでたまたま先日その近郊市に住む知人に会いに行く用事が生じたのでそのついでとばかりに、珍スポに全く興味のない知人を強引に巻き込む形で立ち寄ることにした。

これは、そのように確実に友達を減らしていくスタイルで実現した訪問記である。

 

portal.nifty.com

 

まず、竹島と言っても辺境問題で揺れているほうのではなく、愛知県は蒲郡市三河湾に浮かび、国の天然記念物に指定されている、たいそう牧歌的な小島である。

 

本土から橋で渡れるほど近い距離にありながらも独自の植生が存在しており、Wikipediaによると238種の高等植物が自生しているらしい。

海はとても透明度が高くて美しい碧色をしていた。

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島全体は八百富神社の神域で、市杵島姫命祭神としている。
市杵島姫命は素戔嗚の剣から生まれた宗像三女神の一柱で、三女神のなかでもとりわけ美しいと言われ、弁財天様と同一視されることもある神様である。
芸能関係のご利益のイメージが強いけれど、ここでは開運・安産・縁結の神様として祭られているらしい。

 

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島全体の雰囲気は江の島にどことなく似ているなぁと思った。

あと風がめちゃくちゃ強くてT.M.Revolutionごっこには最適のロケーションである。

 

さてお参りもそこそこに、念願の竹島ファンタジー館である。

 

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すべて貝でできているというクレイジ…もといカオスな展示については上述のリンク先にあるDPZの記事などに詳しく書いてあるので割愛するとして、特筆すべきはお土産コーナーであった。

 

レジのところに鎮座ましますクリオネのクリスティーナちゃん。

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手書きの文字と厳重にスチロールに囲まれた様子から、大事にされていることが伝わってくる。

水族館で見たことはあるけれど、クリオネってめっちゃかわいいよね。ガチで天使。

 

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 とても「元気です。」感はないが。

 

大丈夫かしら…と思っていたら、売り場のおじさんが気を利かせてくださり

「こいつ寝てんだよ!!」

と言いながら、ガラス瓶を激しく振り回した

一応、止めた。

 

 

多分、一番高いお土産。

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こんなの漫画によく出てくるお金持ちの家でも見たことない。

そもそもお金持ちがここに来るかどうかも未知数である。

 

オリジナルTシャツ。

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かわいいが、もう少し振り切った感が欲しい。

「かわいく作ろう」というあざとさは不要なのだと言ってあげたい。

 

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フォトフレームづくりコーナーもあり、作って友人への「いやげもの」にしようかと思ったけど、これ以上友を減らしたくないので思い留まった。

 

そしてお土産の白眉はデッドストックにあり。

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坂上忍氏主演のオリジナル映画。 

隠し切れない自主制作感がたまらない。 

そしてファンタジー館の見どころを組写真で見事に凝縮したオリジナル下敷き。

 

数々の土産物の中でもここのPOPが一番力が入っており、「他では絶対に手に入らない」 と太ゴシック体で強調してあるので、

 

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 両方買った。

ビデオデッキ持ってないから、DVDに焼き直さねばならない。

観たら感想を書きますが、観ない可能性も非常に高いです。

 

駐車場さえもファンタジー

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ものはついでというわけではないが、日本三大稲荷の1つである豊川稲荷にもお参りしてきた。

 

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参道は良い感じに昭和の面影を残しており、大変私好み。

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わけてもこちらの食堂の外観がたまらなく好ましかった。

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商店街のいたるところに狐の看板があってかわいらしい。

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このかわいらしさとのコントラストとして存在しているのが、奥の院の先にある霊狐塚である。

  

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狐の石像が何体も並んでおり、ただならぬ気配がある。

夜一人でここに来たら多分、泣くと思う。

 

 四日市の工場夜景を見て旅のしめくくりとした。

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美しい。

人類が生んだ最高の工芸品である。

 

そんな春の一日であった。