晩夏に刻む次の章
永住したいほどに愛着のあった大阪を断腸の思いで離れ、関東に戻ってきて1週間と少しが経過した。
それまでにあったことや感じたことや話したことは、簡単に言葉にするのはもったいないと思えるくらいに自分の中で宝物になっているので、とりあえず写真だけ残しておきたい。
大阪で時々見かけたご近所の猫さん。
引越し当日に最後の挨拶ができてよかった。元気でな。
たった一年だけお世話になった部屋。
リビングは西向き、寝室は東向きで、朝と夕に磨りガラスから差す光が好きだった。
私にしては珍しく友達を呼ぶことの多い部屋だった。たこ焼きパーティしたり川の字で寝たり、ドラマを見て泣いたり、何時間も語り合ったり、どの時間もその時だけのものだったからこそ美しいと思うし、あらゆる瞬間がそういう美しさの積み重ねなのだ。
毎日の通勤で通り抜けた商店街。
魚屋さんや八百屋さんやたこ焼き屋さんが仕込みをしたり挨拶を交わし合っているのを見ながら駅に向かう朝の時間がとても好きだった。
もう見られなくなってしまった今もきっと同じ光景が広がっているのだろう、と時々想像する。
東京に向かう新幹線から見た京都の夕景。
電車から四季をたたえた山々を見るのが大好きだった。
いつか、また。
東京に着くなり友人と待ち合わせて終電近くまでカラオケをしたのだが、「うみのさんがスカートじゃないの初めて見た」と言われる。
(引越し作業があったのでジーンズを履いていた)
確かに年一回くらいしか履かないし、基本的に人と会うときは履かない。
せっかくなのでカメラ女子っぽい写真を撮ってみるなど。
関東に来て、新しい部屋の窓から見える夕焼け。
かつて友人に、「うみのさんは、どこに行ったって数日後にはすっかり馴染んですごく楽しんでるでしょう、どうせ(笑)」と言われたことがある。
その通りです。
関西に担当案件をいくつか残しているので、しばらくは月に何度か帰る。
草津線の眺め。初秋の田園の美しさに心打たれる。
関西に来られて本当に良かった。
自分の人生が全く違うものに変わった、黄金のような五年間だった。
そしてまた新たな章が始まるのだ。
いつか、一つの場所におさまらない働き方ができたら良いなぁ。
それまではまだまだ修行の日々。