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飛ぶ鳥の献立

珈琲と酒と本とぼんやりした何かでできている

連休泡沫由無

GWは福島と岩手と宮城に行ってきた。

コミュ障レベルがカンストしている私にしては珍しく、人と会ってばかりの連休であった。リア充のコスプレをしていた連休とも言える。

そんな連休中のほっこりとかうっかりとか。

 

どの地も眼に映る風景全てが美しくて、悲しいくらいたのしかった。

写真もたくさん撮ったので、また改めてここに載せたい。

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福島では現地に住む知人に色々見所を案内していただいた。どうでもいいが数時間ほどの放牧の後、待ち合わせするためにもらったメッセージの一行目が「ご無事ですか?」だったのだが、ちょっと目を離せば死ぬスペランカーの主人公みたいなキャラだと思われているのかもしれない。意外と死ににくいので大丈夫。

 

岩手では大学時代の親友たちと約1年ぶりに再会した。お互いの近況や大学時代のサークルの思い出(同じ演劇サークルだった)についてひたすらずっと話し込んでいた。

演劇サークルの卒業公演では私が脚本を書いたのだが、物持ちの良い友がそれを残してくれていて、「私こんなセリフ書いたっけ??」と何度も口走るくらいに忘れていた内容のオンパレードで、恥ずかしさで塵芥と化しそうになりながらも新鮮な気持ちで再読した。

当て書きで書いたので、書いた私自身が思っている以上に皆が役を掘り下げてくれたり役に愛着を持ってくれたのがとても嬉しかったことや、書いている途中から「キャラクターが勝手に動き出す」という体験をして、「これが噂に聞くあれか…!」と感動したことも思い出した。そして本番の2ヶ月前にようやく脚本が完成していたという事実に、昔からの遅筆っぷりを再確認した。仕事でも趣味でも本当に筆が重くて、どうにかならないのかと思っていたけど、多分どうにもならないんだな。

 

ところで私は忘れ物の頻度にかけては他の追随を許さない、忘れ物界のZ戦士である。

どれくらい前線を任せられる戦士かというと忘れ物したことさえ忘れるレベルなので、ギリギリ記憶がある過去の実績を辿ってみると、

・離島への旅で、張り切って島の風景を撮影しようと持って来た一眼レフを、港まで乗って来たタクシーの中に忘れる

・持参したシャンプーを風呂場に忘れる(過去5回)

・ホテルで下着を忘れる(過去2回)

・温泉でお風呂セット一式忘れる

・「帰りの電車で飲もう」と部屋の冷蔵庫に入れていたビールを忘れる

・旅館の部屋にコートを忘れたまま帰ろうとする(同行者に指摘されて思い出す)

このようにしてほぼ毎回何かを忘れるのであるが、今回は忘れ物全然しなかった!と帰宅後に自分の快挙を褒め讃えている最中、岩手の友人からメールが来た。

発見してしまった…」という扇情的なタイトル。

まさかと思って開いたら、紛れもなく私のイヤホンの写真がそこにあった。

黙って、「忘れ物しなくて偉かったねパーティ」のために用意していたビールを煽った。

まあ、こんなこともあろうかと(あるな)イヤホンは3本ほど持っている。

そんなわけで、来年会う時まで預かってもらうことにした。本当すまん。

 

連休はなるべく本を読もう、と思ってkindleで色々と併読していたのだけれど、一番良かったのは幸田露伴五重塔」の再読であった。

主人公・十兵衛の職人気質とそれを取り囲む義理人情愛憎が匂い立つほどに感じられる筆致に、孤高の理想主義者たる露伴の結晶のような作品だなあと改めてその美しさに惚れ込む。

浄瑠璃研究の素地や音読文化の片鱗を感じさせる文体も私の好みのど真ん中である。

冒頭の女将さんのこの上なく婀娜っぽい描写に始まり終盤の嵐の表現は嵐そのものよりも威風に満ちて、漢籍の硬質絢爛たる世界観と井原西鶴ヒューマニズム溢れる細やかな描写のハイブリッドと言わざるを得ず、弟子になりたい。

やはり紅葉よりは露伴が好きである。酒好きで「酒仙」と渾名されたことも含めて。

露伴の旧居は明治村に移築されていて、それも非常に美しい居なのである。また行きたい。

 

http://www.meijimura.com/enjoy/sight/building/3-26.html

幸田露伴住宅「蝸牛庵」|エリア別建造物|文化財|園内の楽しみ方|博物館明治村

 

そんなふうに得られた様々のことを心の支えに、次の連休までなんとか人の形を保っていきたい月曜日である。