一瞬という薬、一生を得る薬
写真を撮るのが好きです。
まだ新卒のひよっこディレクターだったころから色々なカメラマンさんと組ませていただいたり、ディレクションをしたり、ポジの選定(2003年ごろの話ですが、当時はデジカメもまだ普及してなかった。と思うとこの10数年の進化の恐ろしさよ)をしたりしているなかで、じわじわと「良い写真とはなにか」について考えることが多くなっていき、そんなら自分でも撮ってみようかなぁと、Nikon FM3aを購入したのがきっかけでした。
診断士資格を取得しようと思ったのも仕事を通してであったし、つくづく、広告の仕事は自分にいろいろなものを与えてくれたなぁと思う。
写真を撮っていて面白いのは、自分でもよく言語化できていない自分の美意識がはっきりと具現化されるところだと思う。
美意識とは、そもそも美とは、様々な解釈はあれど私はここでは、単に姿かたちの美しさのことだけではなく、自分の心が何に対して動くのか、尊さや温かさや面白さや愛しさを感じるのか、という意味合いでとらえている。
世界や事象の何を美しいと思うのか、は、生きていくうえでわりと重要なことだと思っている。
誰かとの衝突や思いもかけない事故で心が痛みを覚えたときに、そういうものが治療薬になってくれることが多いからだ。
どんな状況に置かれても、世界のほんの一瞬の光景でも美しいと思えるならばまだ大丈夫と思えるのである。
写真と言う形に残らない、もしくは敢えて残さない薬もあってそれはそれで好いものなのだけれど、形に残しておくことで、何気なく見返した時、あるいはふと本棚の隙間から出てきた時、ああ自分はこういうものに心をやわらかくなだらかにしてもらってきたのだなぁと、そのこと自体を味わい深く思い、そこにまた思わぬ美が生まれたりするのが好きだ。
そんなふうに、この薬には消費期限がないところも気に入っている。
私の使用機材。銀塩オンリーです。
-Hasselblad500C/M
-Rolleiflex Standard
- Leica M2&DIII
-Voigtlander Brillant
-Nikon FM3a&S2
-CONTAX ST&G2
-ALPA 10d